全国に知られる名産「有馬山椒」とは、六甲山系に自生する「ヤマサンショウ」のことを言います。
自家農園と旧有馬郡の契約農家の方にお願いして、手作業で摘んでいただいております。山椒は若葉を「木の芽」、雄花を「花山椒」、雌花につく実を「実山椒」といい、それぞれ違った形で料理に利用されます。
地元には、山椒の実だけでなく、花・葉・皮までも食用に使う食文化が根付いています。
山椒は、春先に4月下旬に黄色の小さな花を咲かせます。
花が開く直前の2、3日の間に丁寧に摘み取り炊き上げたものが「花山椒」です。
そのため、大変貴重で、炊き上がりは生の十分の一以下になり、自然を凝縮した佃煮の至宝と言われています。
山椒の辛みはもちろん、甘さと苦味のバランスが絶妙な逸品です。
「ヤマサンショウ」には花や葉の近くに多くの鋭い棘(トゲ)がついています。
棘のある品種は、収穫には3倍の時間がかかりますが、その分香りや辛みは格別です。
5月下旬には、「実山椒」が生ります。
収穫した実山椒は、様々な佃煮に使われます。
炊いたときに、固い種が口に残らないように中の種が白く柔らかい1週間のうちに収穫しなければなりません。
そうやって収穫した新物の実山椒は味も香りもより強くなり格別です。
山椒の樹皮を細かく刻んで佃煮にしたのが珍味「辛皮(からか)」です。
昔、山椒の産地である有馬の里人が山椒の木の皮を刻んで佃煮にしていました。
当店では、山椒の木の皮を剥いであく抜きし、細かく刻んで醤油で炊き上げました。
すっきりとした醤油と強くしびれるような山椒の辛さが食通に愛されています。